書籍評 吉田修一

「あの空の下で」 吉田修一 著

投稿日:2016-02-04 更新日:

<あらすじ>
初めて乗った飛行機で、少年は兄の無事を一心に祈っていた。空は神様に近い分、願いが叶う気がして-。機上で、田舎の駅で、恋人が住んでいた町で。ささやかな、けれど忘れられない記憶を描いた12の短編と、東南アジアから北欧まで、6つの町での出会いを綴ったエッセイの詰め合わせ。ANAグループ機内誌「翼の王国」人気連載をまとめた、懐かしくいとおしい、旅情を誘う作品集。

<感想>
読み終わって「旅」に出たくなった。今すぐにでも。
12の短編の中で1番好きだったのは「恋する惑星」。
冒頭の文章がとてもステキだ。
真面目に生きてきたか、と問われたら、たぶん不真面目だったかもしれない・・・と答えるしかない。
でも、真剣に生きてきたか、そうじゃなかったか、と問われれば、私は自信を持って「真剣に生きてきた」と答えられるのではないかと思う。
(そうなの!そう!私もそう答える)この文章を読んだ瞬間に共感した。
舞台は香港。32才の私と11才年下の友哉。
奇しくも昨夏、香港を旅行した私は土地勘があるので、文章を読むだけで、あの活気ある香港の街が頭の中に浮かび、まるで自分が香港にいるような気分になった。
主人公の私は、11才も年下の男と付き合う負い目を感じている。わかるんだな、その気持ち。
年下と付き合うと言う感覚を、吉田氏は初めて訪れる異国の街を歩く友哉と、5回も訪れ土地勘がある私の違いで上手く表現している。さすがだ。
それに、『恋する惑星』ってタイトルもイケてる。
1995年の香港映画で、ウォン・カーウァイ監督作品『恋する惑星』に因んだタイトルを小説につけるなんて。
「流されて」も良かった。
マレーシアの孤島で結婚することを丁寧に描いた短編でした。
また、吉田氏の旅エッセイも良くて、バンコクとラオスへも行きたくなりました。

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