号泣する準備はできていた 江國香織 著

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第130回直木賞受賞作品

<あらすじ>
大丈夫、きっと切り抜けるだろう。
体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、
その哀しみを乗り越えてゆく姿を
甘美に伝える表題作「号泣する準備はできていた」。
昔の恋人と一つの部屋で過ごす時間の危うさを切り取る「手」。
17歳のほろ苦い恋の思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」
など、詩のように美しく、光を帯びた文章が描く、繊細な12の短篇。

<感想>
12編の短編からなる小説。詩を読んでいるようなテンポの良さがある。
小説だけれど、ドラマチックや劇的なコトを書いているではなく、
フツウの日常の一片を切り取るように書いた作品で、
ぐっと来るような表現がたくさんある。
さすが「江國さん」と言う感じ。
12短編の中で私が好きなのは
「洋一も来られればよかったのにね」。
主人公は1年に1度姑さんと小旅行へ行くことがお約束のようになっていて、
今年もその旅行に来ていると言う設定ではじまる話。
姑の息子である夫とは随分前から、内面的に崩れてる関係であるという背景がある。
その一節に
「恋に落ちるということは 帰る場所を失うということなのだ」
「自分が誰のものでもなかった頃の、
 恋のひとつでどうにでも変われた頃の記憶のままに愛した」
と言うのがある。好きな一節だ。

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