ドラマ(シリアス、ハートフル) 映画評

جدایی نادر از سیمین‎ * 別離 *

投稿日:2013-04-17 更新日:

20130411_2164532011年 / イラン

監督:アスガー・ファルハデ

CAST:
レイラ・ハタミ、ペイマン・モアディ、シャハブ・ホセイニ
サレー・バヤト、サリナ・ファルハディ


映画賞 2011年
アカデミー賞 外国語映画賞
ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞
ベルリン国際映画賞 金熊・銀熊(男優・女優共に)三冠受賞

<STORY>
テヘランで暮らす妻シミンは、11歳になる娘テルメーの将来のことを考えて、夫ナデルとともにイランを出る準備をしていた。 しかしナデルは、アルツハイマー病の父を置き去りにはできないと国を出ることに反対。夫婦の意見は平行線をたどり、シミンが裁判所に離婚申請をするが、協議は物別れに終わる。 シミンはしばらく家を出ることとなり、ナデルは父の世話のためにラジエーという女性を雇うことに。しかし、ある日、ナデルが帰宅すると、ラジエーは不在、父は意識不明でベッドから落ち床に伏せていた。 ほどなく帰宅したラジエーにナデルは怒りをあらわにし、ラジエーを問い詰め、彼女を手荒く追い出してしまう。 その夜、ナデルは、ラジエーが入院したとの知らせを受ける。しかも、彼女は流産したというのだった……。

<感想> 評価 ★4
イラン映画です。とても興味深く映画を堪能しました。
この映画の魅力のひとつに日本人に馴染みの少ない「イラン」が舞台であることがあると思います。生活が、性格までもが”イスラム教”で支配されている様が、私の興味を引きました。

イランも今や高齢化社会で、(介護は家族の役割)と言う社会通念が強いため、困難な状況でも自宅介護するのが現状のようです。その上、男女隔離が厳格なイスラムの教えでは、(親族ではない男性の肉体に直接触れてはならない)と言う考えがあるため、作品の中でもアルツハイマー病の父のために国外移住ができなくなったり、父の介護問題で家政婦を雇い、事件が起こり、複雑化した原因になっていました。宗教ですから、信仰の深さは人それぞれ。作品の中で、家政婦のラジエーは敬虔なムスリムであるため、外出時には全身を覆う黒い布(チャードル)をまとっています。
雇われているのに、老人の下の世話をして良いかどうかを「イスラム教聖職者」に問い合わせるシーンは、ラジエーにとっては大問題でも、笑えてしまう無宗教な私。
どこの国でも、事件が起き、裁判になった時、少しでも自分に有利な発言はするものです。
この作品でも、(ラジエーの流産の原因が、雇い主のナデルの暴力によってなのか)で争われるワケですが、いろんな展開の結果、ナデルが折れて示談で決着することになります。これで一件落着なハズ。ナデルが、「コーランに手を置いて誓い、この争いを終わらせよう」と言うワケですが、(ナデルのせいで流産したと言い切れない)と思っているラジエーはコーランに手を置き誓うことが出来ず、神から罰せられるとビビりだします。ここにも宗教が絡むワケです。ほんならなんで中途半端なコトを言うてややこしすんねん!って話ですが。

作品としても魅力があると思ったのは、ナデルがラジエーの妊娠を知っていたか知らなかったか、ナデルがラジエーを押したことによって階段から落ちたのか?ラジエーは父親をベッドの端に括りどこへ外出していたのか?など、作品中には明らかにされていない裁判での発言が多くあるため、時にはナデル目線で、時にはラジエー目線で映画を見ることができたところです。推理できる楽しみがありました。

ラストは、11歳の娘:テルメーが、離婚を決めた父か母のどちらを選択するか・・の裁判所シーンで終わります。ふたりの関係をつなぐために努力してきたテルメーが映画の中で描かれているために、切なくなります。テルメーの決断はわからぬまま映画はエンドロールになりますが・・・。この余韻がこの作品の良さなんだと思います。

イラン映画、魅力あります。また見てみたい!

 

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