「我が家の問題」 奥田英朗 著

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20140717_882205<あらすじ>
夫は仕事ができないらしい。それを察知してしまっためぐみは、おいしい弁当を持たせて夫を励まそうと決意しー「ハズバンド」。新婚なのに、家に帰りたくなくなった。甲斐甲斐しく世話をしれくれる妻に感動していたはずがー「甘い生活?」。それぞれの家族に起こる、ささやかだけれど悩ましい「我が家の問題」。人間ドラマの名手が贈る、くすりと笑えて、ホロリと泣ける平成の家族小説。

<感想>
6話からなる短編集。久々に奥田英朗氏の作品を読みました。やっぱ上手いです。
それぞれの家族にはそれぞれの悩みがあるワケで・・それを前向きに描いた優しい短編集でした。
軽く読めてほろっとさせる小説です。
「甘い生活?」
新婚である田中淳一が帰宅恐怖症になるお話。優しさ故に本音を出せずに来た新婚夫婦が夫婦の第一の関門にぶち当たる時を描いていたと思います。まぁ根本考え方が違う夫婦なので、やや先行きが不安な気がしないでもないですけど。
「ハズバンド」
(夫はどうやら仕事ができないらしい)と気づいてしまった妻目線で書かれたお話。実際のところ確認せずに夫を思って美味しいお弁当を作り、毎日持たせる決意をしがんばっているめぐみさんがいじらしく思えました。
「絵里のエイプリル」
(どうやら両親は離婚したがっているらしい)ひょんなことからそのことを知ってしまった高校3年の絵里が、今までは両親へ思いやりを持たずに毎日を当たり前に過ごしていたことに気づき、両親を観察することに。淡々と何もなかったように日常を送る父と母。本当なのか?我が家は壊れちゃうんだろうか?不安に揺れながらも、心の成長を見せる絵里の心情が繊細に描かれた作品でした。この短編だけが子どもの目線から描かれた作品でした。
「夫とUFO」
(夫がUFOを見たと言い出した。しかも最近は交信できるようになったと言う。夫は大丈夫なのだろうか)
このお話の主人公、妻の美奈子の行動がすごくステキ。ストレスから全てを抱え込み、精神症状が出ている夫に詰め寄るのでなく、「これからお父さんを救出してきます」って姿勢がいじらしくてグッと来ました。
本作で1番印象に残り、1番好きでした。
「里帰り」
新婚の夫婦。仕事が充実している東京在住の若夫婦は夏休みは海外で過ごしたいところだが、新婚ゆえに、お互いの実家へ里帰りを選ぶ。最初は儀礼と割り切っていたふたりだが、両方の実家で温かく迎えられて気持ちが変わる感じが温かでした。
「妻とマラソン」
ベストセラー作家の妻は、毎日1時間以上のマラソンを日課にし、その趣味がどんどんエスカレート。夫が気づいた妻の心のバランスの変化。マラソンに打ち込む根底にある理由を知り、家族で東京マラソンに出場する妻(母)を応援するシーンが良かったです。

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