2005年/アイルランド・英 監督 :ニール・ジョーダン CAST: キリアン・マーフィ、リーアム・ニーソン、 ルース・ネッガ、ローレンス・キンラン、 スティーヴン・レイ |
<STORY>
70年代のアイルランドの小さな町。生まれた直後、教会の入り口にバスケットに入れられたまま置き去りにされたパトリックは子どもの頃から女の子の格好をすることが好きだったちょっと変わった子。自分を捨てた母は人気女優ミッツィ・ゲイナー似の美女で今はロンドンで暮らしていると聞いた彼はいつの日か再会することを夢見ている。彼のよさを理解しようともせず家の恥とののしる育ての母と姉に辟易した青年パトリックはひとり母を訪ねようとロンドンに旅立つ。旅の途中でであったロックグループにはIRAの武器守りをさせられたり、ほとんど文無しでたどり着いたロンドンでは着ぐるみショーやマジックショーの手伝いをして小銭を稼いでいたが、ある日居合わせたディスコでの爆破事件でアイリッシュの彼は爆弾犯と誤解され拘束される。やがて拘束を解かれた彼は担当警部のつてで水商売につくが、故郷から彼に会いに出てきた神父からまだ見ぬ母親の居場所を聞かされる。ついに母親との再会のチャンスを得たパトリックは…。
<感想> 評価 ★4
パトリック・マッケーブの同名小説をアイルランド出身の監督、ニール・ジョーダンが映画化した、異色の人間ドラマ。
「トランスジェンダーの生き方を描いた映画」程度の予備知識だけで観たので、冒頭主役のキトゥンを観て(え!まさか・・キリアン・マーフィ!?)と仰天した。DVDパッケージを観てもキリアンの面影がない。過去作品「28日後」「ダブリン上等!」「パニックフライト」とは全然違うキリアンがこの映画には存在感たっぷりにいる。
舞台が70年代なので、全編懐かしいミュージック満載!音楽の使い方がとても上手で、映画を見終わった後にDVD特典のミュージッククリップも観てしまったほど。当時の流行のファッションもたっぷり登場。細身のキリアンがパンタロンやファー、細身のコートをキレイに着こなしているので観ていて楽しい。
STORYは’70年代のアイルランド。その当時、アイルランド独立運動にイギリスが暴力で弾圧しており、イギリスに対しIRAの爆弾テロが各地で起きていた時代。激動の時代の中でトランスジェンダーとして差別を受けたり、両親がいない孤独を抱えながらもポジティヴに生きた1人の青年の生き様を彼の語り口で何章にも分け、おおげさに、嘘っぽい狂言風ティストで展開されるため、シリアスな内容の割りに重くなり過ぎずテンポ良く観ることが出来た。
キトゥンの抱える運命は本当にシリアス。罪から生まれた子ども、トランスジェンダー、アイルランドと英国、IRAテロ……けれど、キトゥンの一生懸命な姿、人を愛する姿、愛されたいと願う姿勢は観ていて心を揺さぶられるほどだった。誰と誰の間に生まれた自分なのかと言う自分のルーツと言うものはノーマルに生まれた私には計り知れない大切な根源なのかも知れない。
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