2005年/日本 監督 :SABU CAST: 手越祐也、韓英恵、大杉漣、寺島進、中谷美紀、 豊川悦司 |
<STORY>
干拓地。“浜”と呼ばれる街に、シュウジは家族と穏やかに暮らしていた。人々が近寄らない“沖”と呼ばれる場所に住む鬼ケンが変死したとき、幼いシュウジはひとり泣いた。鬼ケンに助けられたことがあったからだ。やがて中学生になったシュウジは、同級生のエリに惹かれるようになる。そして、彼女が通う“沖”の教会に足を運び、エリや神父との距離を縮めていった。しかしシュウジの生きる道に、次第に暗い影がさしてくる。
<感想> 評価 ★2
原作を読んだ。小説に流れる閉塞感のある街の空気。シュウジの体験した出来事の数々、彼の絶望感、それでも人と繋がりたいと願う切なさ、人が深層で持つ凶暴性などに触れ、心が震えるような感覚を持った小説だったので、SABU監督映画には期待をしていたのだけど・・・残念としか言いようがない。
だいたい、上下巻に分かれる小説を2時間で表現することはムリだと思うし、両親が好きでお兄ちゃんが好きな少年が家族が壊れだした事をきっかけに、<目があなぼこ>になってしまうほど変化する表現ができるような役者さんがいたら怖い。けして手越くんが役足らずなのではなく、映画化することがムリな作品だったのだと思う。
小説で感じたような感覚を映画で感じることができなかったのは、小説のストーリーを追っているだけの映像化だったからではないだろうか?ヤクザとの絡みも映像化するのはムリだろうが、あの残酷さがあるからこそ際だつものがあるわけで・・・惜しい。映画を観て「疾走」を分かったように思っている人がいることが惜しい。できれば小説「疾走」を読んで欲しい。
その中で、神父役のトヨエツは素晴らしかった。小説の神父役が蘇ったような気さえした。鬼ケン役の寺島進も適役。もっとも驚いたのが中谷美紀。東京出身の彼女の話す関西弁は完璧。ヤクザもののオンナ役も清楚な彼女にはムリだろうと思っていたけれど、板についた演技で素晴らしい女優を発見した気分だった。
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