21回直木賞受賞作品
<あらすじ>
私は子供を捨ててもいいと思ったことがある。5歳の娘が失踪した。夫も愛人も私を救えない。絶望すら求める地獄をどう生き抜くか。「OUT」から二年、孤独と自由を追求する書下ろし問題作!
「現代の神隠し」と言われた謎の別荘幼児失踪事件。姦通。誰にもいえない罪が初めに有った。娘の失踪は母親への罰なのか。四年後、ガン宣告を受けた元刑事が再捜査を申し出る。34歳、余命半年。死ぬまでに、男の想像力は真実に到達できるか。121回直木賞受賞作。
<感想>
同じ子供を持つ親として、題材はかなり重い。主人公 カスミ に感情移入こそできないけれど、人簡単には本当にいたい場所を探すことができないものなんだと思う。ここに本当にいたいのか?を選択をする時、ひとはそれがBESTだと考えて選ぶのだけれど、だんだんそこが居心地の悪い場所になる。ここにいたかったわけではなかったのだと気付く。
それでも、そこを自分の居場所にするために、努力し、違和感に鈍感になる自分へと変えてゆき、慣れてゆく。新しい目的を探してそこにいつづけることができるひとは幸せだ。この主人公:カスミはそれができなかった。
愛人:石山に、その夢を託したこともあったが、自分の愛娘:有香を失踪事件という形で失ってしまい、なんとか帳尻を合わせようとしてきた歯車を狂わせてしまう。そうなると修正は効かない。それが人生の恐ろしさなのだろうか・・・・。
緻密な描写で、人物心理を描いている 桐野 夏生氏。
ミステリィというよりも、その形をとった小説という印象。
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