逃亡くそたわけ  絲山秋子 著

未分類


20090507_690631<あらすじ>

「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」 軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、 退屈な精神病院からの脱走を決意。 名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での 逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされながら、なごやんと衝突しながらも 車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。

<感想>
まさに小説版ロードムービー(ムービーじゃないか)。 犯罪に巻き込まれるとか、誰かを捜す目的とか特別大きな事件や目的などなく 精神病院から(ただ逃げたかった)躁症状の花ちゃんが、鬱症状のなごやんを誘い出し ひたすら九州の南へオンボロ車で旅する話である。 特別な言葉で何かを得たとか、自分と向き合えたなんて表現がないところが絲山秋子さんの好きなところ。 「沖で待つ」も「海の仙人」も男女の友情的な関係が描かれていたけれど、恋心のない男女関係を描くのが 上手いなと思う。 この小説、第133回直木賞候補作品となっていたらしい。 読み終わって、最初に思ったのが、車でゆっくり九州を旅してみたいなーっと言うこと。 小説に出てきたところをまわってみたいと言う気持ちにさせられた。 躁鬱で苦しむふたりが主人公だか、あまり重い読感は残らなかった。 ある意味、そこれがこの小説の魅力ではないだろうか。

コメント待ってます♪