2005年 / 米 監督 :アン・リー CAST: ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、 ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ アカデミー賞 監督賞・脚色賞・作曲賞 ヴェネチア映画祭 グランプリ金獅子賞 ゴールデングローブ賞作品賞 PG-12 |
<STORY>
1963年、ワイオミング州ブロークバック・マウンテン。定職のないイニスとジャックは、羊放牧の職を得て、ここでひと夏を過ごすことになる。自然の厳しさの中で互いを助け合ううちにふたりの間に深い絆が生まれ、やがてそれは愛へと変化していく。放牧の仕事が終わった。別れがたい想いを残しながらもふたりは、(いつか逢おう)と約束し、別れる。保守的な時代・閉鎖的な土地で暮らすふたりはそれぞれに伴侶を得、子供を授かりながら、20年もの長きに渡って密かに愛を育んでいく。しかしやがて、厳しい社会の現実が2人の関係に影を落とし始める・・・。
<感想> 評価 ★4
男の同性愛、ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール・・・どのキーワードも私の好みでなかったので観ないで来たが、観る機会を得た。見終わった今、日にちが経つ毎に(じわ~)っと心に感じる何かがある。見終わって「良かった」と、ぱぁ~っと昇華する作品もあるけれど、この作品は余韻が残る。観ている間も、見終わった今も(感動した!)っと言うのじゃないのに・・だ。
まず、頭の中からブロークバック・マウンテンの風景が離れない。雄大で美しく、力強い大自然。空に浮かぶ雄大な雲。荒々しい木々。その中で馬に乗り、羊を追い、野営する二人の姿はとても美しく脳裏に残っている。ふたりは友情から次第に狂おしいほど愛し合う関係に変化していく。人が人に惹かれるというのは、理屈じゃないんだと思う。 同性愛という題材ながら、興味本位のものせず、素晴らしい風景、ふたりの生きる姿、言葉と表情などで観ている側に何かを感じさせる構成になっている。よって、観る人によって感想はかなり変わるだろう。
私が映画を観ながら考えていたのは、イニスとジャックのどちらが男の立場・女の立場なんだろうか?と言うこと。調べた結果、イニスが「男」で、ジャックが「女」の立場らしい。それを踏まえて考えると、ジャックとイニス、それぞれの言い分、行動につじつまがあう。
また、詳しく説明はないが、ジャックの死は事故死ではなく、ゲイバッシングによる集団リンチだったようだ。イニスはジャックが亡くなった後、ジャックの部屋で2枚重ねになったシャツを見つける。それはブロークバックマウンテンに置き忘れたはずのイニスのシャツとその上にかけられたジャックのシャツだった。ジャックの愛の深さと、自分のジャックへの愛に改めて気付き、イニスがシャツを抱きしめるシーンは、切ない。
ただ、イニスの妻も、ジャックの妻も(自分たちが1番愛されている存在でないこと)に気付き、夫婦関係は破綻していく。1人の人を思い続けるということは純粋な感情だけれど、その純粋な感情に深く傷つけられる人も出てしまう。愛の残酷さも見せつけられた。
―と、言うことで何とか感想をまとめたけれど、自分の中で掴みきれない(感情)がこの作品に対して残っていてうまくまとまらなかった。こう言う余韻を残す作品と出会うことはそう多くはない。それ故に、本作品はクオリティー高い作品と言えるのだろう。
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