ひなた 吉田修一 著

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20090506_689708<あらすじ>
新堂レイは有名ブランドHに就職したばかりの新人広報。 彼女は、海で偶然再会した同級生の大路尚純と昨年夏から付き合ってる。尚純は大学生。 彼が両親と暮らす文京区小日向の家で、兄夫婦が同居をし始めたー。 それぞれが関わり合って淡々とした日常を紡ぎだす。 お互いに踏み込むことのできない「聖跡」を抱えながらもー。 四人の視点で「春夏秋冬」を描き出す。

<感想>
吉田氏の小説って結構いい暮らしをし、いい仕事についてたりするんだけど、 明るくHappy♪とは言えない、心に「闇」を抱えてる登場人物が多い。 「ひなた」はまさしくそんな小説で、「パーク・ライフ」や「パレード」の頃の雰囲気を漂わせつつ、 あの頃よりも歳を重ねた分、重みのある「闇」を抱えている登場人物が何人も出てくる。 だけど、文章は湿っぽくなくて、自分の中で何とか折り合いをつけてスマートに生きてる風に描いているから、逆に読んでる私が痛かったりする。 そのへんの表現の仕方が私を吉田修一ファンにしているところなんだと思う。
小説の中で、自分の感覚に近い、もしくは(わかる)と言う部分を見つけるとその小説を案外好きになったりする。 本書の中で、「大路浩一の夏」の章は(あぁ・・痛いなぁ)って思い、大路圭子の「闇」、「孤独」、「不安」に共鳴してしまった。
この小説は人の人生を描いているから「終わっていない」小説だ。
いつか、この続きがあるような気がしているし、読みたいなと思う。

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