2008年/米 監督:デヴィッド・フィンチャー CAST: ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット ティルダ・スウィントン、ジェイソン・フレミング |
<STORY>
1918年、ニューオリンズ。第一次大戦末期、バトン家に生まれた赤ん坊は老人のようだった。父親は赤ん坊を養老院の前に捨てる。養老院で働くクイニーは、赤ん坊を見て驚くが、カレの母親になることを決意。ベンジャミンと名づけ養老院で育てられる。医者から「近いうつに亡くなるだろう」と宣告されたベンジャミンだったが、不思議な事に年々その肉体が若返っていった。数奇な運命を背負って生まれたベンジャミンの人生が描かれる。
<感想> 評価 ★3.5
監督はデヴィッド・フィンチャー。有名は作品に「セブン」「ゲーム」「ファイト・クラブ」等がありますが、過去作品でもブラピを起用していることが多いです。本作は、フィンチャー監督作品?と思うぐらいフィンチャー監督色を感じませんでした。それが物足らない気もしました。
上映時間:2時間47分。長いです。
特別大きく盛り上がるシーンがないので一歩間違ったら寝てしまう恐れを感じながら鑑賞しましたが、それなりに物語には入っていけました。
本作は、80歳で生まれ、赤ちゃんとなって亡くなるまでを描いています。
ラストでホームレス生活をしていた6歳のベンジャミンが児童局に保護されます。その時のカレは既に見当識障害(いわゆうボケ老人)となっており自分の過去も名前すらも言えません。映画をここで終わるのもありだったかも知れませんが、ラストは妻であるデイジーに抱かれて赤ちゃんとして亡くなるまでを描いています。このシーンを見た時、言葉では表現しがたい、むなしさを感じました。これは赤ちゃんとして死ぬまでをきちんと描ききってくれたからこそ感じられた感情です。ここに大きな意味を感じました。
最初は若返っていくベンジャミンをうらやましく思っていたのです。いろんな知識を得、経験をしてなりたい自分像がハッキリしてきた頃に、充実し、見た目もカッコイイ20~30代を迎えるワケですから(若い頃にもう少し勉強しておけば良かった。遊んでおけば良かった)と言った種類の後悔を感じなくても良いんじゃないかと思ったからです。
しかし、後半になるにつれ身体は若返るのに、心と知識や経験はオトナと同じく増えていくばかりでアンバランスさが増していく。これって想像するよりキツいと言うことをベンジャミンを通して知ります。
特に、愛する人と生活をするようになって以降、幸せを感じれば感じるほどに不安が増していくベンジャミンのきもち。愛するデイジーの足手まといになりたくない、娘にとって父親として存在したいと言う思い。
また、女性として、ベンジャミンを愛したデイジーの気持ちもツライです。
歳を重ねて行く自分とどんどん若返る愛する相手にフクザツな苛立ちを感じるシーンや、愛するが故に子供になってしまうベンジャミンとの生活も覚悟の上とは言え、娘を育てながらベンジャミンとどうしてやって行けば良いかを苦しむあたりは切ないです。
良質な作品であることは間違いありませんが、あまりにも淡々と語られる人生に、物足りなさを少し感じました。本作はF・スコット・フィッツジェラルドが書いた小説をベースにしたノンフィクションなのですからもう少し感情の波があるような作品にしても良かったんじゃないのか?と思いました。
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