<あらすじ>
何かが過剰で、何かが足りないこの世の中今日も出くわす“ばかげた”事象を宇陀川静子・七十五歳は見過ごさない―チャーミングで痛快!直木賞作家の最新長篇小説。
<感想>
井上荒野さんの小説ははじめてでしたが、この1冊で「井上荒野」氏に心惹かれました。他の書籍も読んでみたい気持ちになっています。
本書の主人公は宇陀川家族。特に大きな大事件が起こるわけではなく、まさしく「日常の出来事」を描いた作品ですが、その代わり映えしない「日常」にも心を乱したり、揺らしたりすることは潜んでいるものです。それは年齢に関係なくです。17歳の孫娘:るかにはその年代の独特の悩み、静子の息子の愛一郎にはその年代の揺れが、愛一郎の妻:薫子にも心晴れないことがあり、75歳になっている静子さんもいろんなことが起こります。でものこの75歳の静子さんがとてもチャーミングなのです。まさしく愛らしく、凛とした印象。孫にも息子にも嫁にもほどよい距離を置きながらちゃんと家族をみつめている。あこがれさえ感じます。それは、いろんなことを抱えて越えてきた宇陀川静子と言う女性の深いみのある人生の後ろ盾があるからではないでしょうか。それを思う時、人と言うのは永遠に成長するものだなと思うのです。
1日で一気読みしたのは久々の小説でした。
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