2008年 / 米 監督:アントワーン・フークア CAST: リチャード・ギア、イーサン・ホーク ドン・チードル、ウェズリー・スナイプス |
<STORY>
NY:ブルックリン。最も低所得者層が多く犯罪多発地域:ブラウンズビルの分署に所属する警官3人。
この地で20年以上勤め、1週間後に定年を迎える刑事エディ。危険を避けて生きてきた自分が失った警官としての正義に思いをはせ、虚無感に苛まれている。病弱な妻と5人の子どもを抱える麻薬捜査官のサル。新居購入資金の工面に奔走し、悪の道へ進もうとしている。そして潜入捜査官タンゴ。危険な任務に就いていながらも、警察組織における自分の存在の軽さに嫌気がさしていた。そして、命がけで自分を守ろうとさえする潜入先のギャングたちを裏切ることを悩み始める。決して交わるはずのなかった3人の刑事たち。ある日起きた警官による強盗殺人事件をきっかけにそれぞれの“正義”が思わぬ形で交錯する・・・。
<感想> 評価 ★4
イーサン・ホークファンなので選んだ1作でしたが、想像以上に心に引っかかりを残し、観て良かったと思った作品です。
冒頭、夜にクルマの中で男ふたりが「より善か、より悪か」についてイマイチ理解しにくい話をしています・・・と、このあとに衝撃的なシーンが・・・。
ここから映画がはじまります。
「より善か、より悪か」この言葉にこの映画の主旨が凝縮されているように見終わった今は思うワケです。
とにかく終始この作品、ヒリヒリするような緊張感と、息苦しさとむなしさが充満していました。
よくあるポリス映画とは全く違います。正義感に燃える警官が英雄的活躍なんてしません。映画と言うよりドキュメンタリーじゃないかと思うほどリアルを感じます。誠実に働いても暮らしが楽にならないワーキングプアな警官や、警官と言う職業に誇りを持って生きようとしても現実がまったく違ったことで人生を諦めた警官。そして、警察組織の任命を忠実に守ったことによって私生活を失い、自分をも見失いかけている潜入捜査官。この3人は同じ職業でありながら交わることなく今日まで来たけれど、1つの事件をきっかけにラスト10分で交錯します。この部分を取って邦題は「クロッシング」としたのだろうけれど、原題の「BROOKLYN’S FINEST」(ブルックリンの警察官)の方が的を得ていると思います。
どれも善であり、どれも悪・・・生きるためにもがけばもがくほどに良い方向に進まない虚しさ。
あのリチャード・ギアが覇気のない情けない中年男を好演。最近すっかり落ちぶれた男役をさせたら板についてきたイーサンはいい味を出していたしドン・チードルの苦悩する目の演技は絶品です。
ぜひみてください。
コメント待ってます♪
この映画なかなかいい映画ですよねぇ。イーサンが出ているからと、私も見たんですが、イーサンうらぶれたいい男になったなぁって思いましたよ。(笑)
この緊張感と悲哀に満ちた映画、結構好きな作品の一つです。
なんさん
まったく同感です!
想像してたより良かったですよね。
リチャード・ギアも情けない男を好演してて、演技上手かったのね?なんて思ってしまいました(失礼ですな)
最近わたしたちのイーサン、うらぶれた男役が多いけど、
また違った感じのも見たいですねー。