クローズド・ノート 雫井脩介 著

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20090507_690589<あらすじ>

文具店でアルバイトする教育学部の学生・香恵は一人暮らし。彼女の部屋に残されていた前住人の物らしい一冊のノート。小学校の先生の物だったらしい日記には子供達と接する日常生活と恋心が溢れている。ある日、香恵は自分のマンションの部屋を見上げる青年の姿に気づく。
<感想>
新刊を買うには勇気がいる(値段が高いから)。それでも買うには私の場合、2つの決め手がある。1つは作者の過去の作品に満足していること、2つめが装丁のデザインに魅力を感じるかどうか。同じような読者も多いだろう。だから最近では出版会社も作者も装丁デザインにこだわると聞いている。
本書を本屋で目にしたとき、装丁の美しさと題名にとても惹かれ手にした。作者が雫井氏とわかり即買い。予備知識のないまま購入。雫井氏=サスペンスのイメージだったが過去の作品とはまったく違う正攻法の恋愛小説に仕上がっていた。
読み始めて1/3程で明らかにされていない人間相関図も読めてしまい、ラストが早々に想像できてしまったがサスペンスでないので仕方ないかな。
主人公が天然タイプの大学生で子供っぽすぎるキャラクターだったので共感できず客観的に読んでしまった分、感動が減ってしまったがハマる人にはハマる小説だろう。
また、本書では万年筆が重要な小道具として詳しく出てくる。学生の頃、文具が好きだったことをほんのり思いだしながら、パソコンばかりの毎日に少し反省もした。自筆・万年筆・・このアナログな感覚は大切だと思う。
なお、<参考文献>の欄に本書が不慮の事故で他界された雫井氏の長姉の遺品をモチーフに書かれたものだと知った。雫井氏の長姉は結婚前まで小学校教員で、長姉の遺品の中のアルバムや文集・子供達からの手紙などを読み、その時感じた感慨をモチーフに書かれた作品だったらしい。それを知ると、本書とはまた違う感情を持つことができた。  

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