錆びる心 桐野夏生 著

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<あらすじ>
6話短編集。
10年間耐え忍んだ夫との生活を捨て家政婦になった主婦。(錆びる心)
囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。(錆びる心)
劇作家にファンレターを送りつづける生物教師の”恋”を描いた短編。(虫卵の配列)荒廃した庭に異常に魅かれる男を主人公にした話。(月下の楽園)など、ほか3作品。

<感想>
普通の暮らしている誰もが持つちょっとした心の歪み、癖。それらをうまく話しに取り入れ、ただのくせ、仕方ないとあきらめている性格などが事件を生んでいくことに焦点を当てた短編集。心のひだがリアルに描いてあり、まさに錆びていく心の手触りが分かるようである。どこでもいるような普通の主婦の心の中には、闇があり、その闇とはなにかの拍子に簡単に壊れ、1度壊れたらそれはダムが決壊したように、止まることはないと言う視点が良かった。
今回の短編集は、桐野作品の中ではかなり軽めに感じるが、一気に読めたほど、なかなかおもしろかった。また、次の作品を読みたいと思わせる作家である。私個人的には、表題作の「錆びる心」が好き

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