哀愁的東京 重松 清 著

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<あらすじ>
進藤宏。40歳。新作が描けなくなった絵本作家。
フリーライターの仕事で生計を立てる進藤は、さまざまなひとに出会う。
破滅の時を目前にした起業家、閉園する遊園地のピエロ、
人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員…。進藤はスケッチをつづける。時が流れることの哀しみを噛みしめ、東京という街が織りなすドラマを見つめて―。
「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。

<感想>
進藤が出会う人々は皆、栄光の時があった人たち。
しかし今は絶頂期を越え、下り坂にいる。
もう2度と表舞台に立てないだろう人、状況が好転することはないだろう人、人生の終焉が迫っている人もいる。
それでも人は現在(いま)を生きていかなければならないんだと言う事を思い知らされた小説だった。
最も印象的だったのは、表題作である「哀愁的東京」。
妻との長い別居生活の末、離婚することになった進藤が、娘との会話の方法として中国的表現でホンネを語り合うシーンは心に滲みた。
ただ、私はこの作品をあまり好きではない。
それは、進藤氏が書いた絵本「パパと一緒に」が毎回出てくる事にある。
パーツとしての意図はわかるが、それが逆にウザかったからだ。

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