僕のなかの壊れていない部分 白石一文 著

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<あらすじ>
松原直人は、出版社勤務の多忙を極める30歳。
才色兼備の枝里子という恋人がありながら、人妻、離婚歴のある子持ちの女性とも関係を続ける。驚異的な記憶力を持つが、それには理由があって…。

<感想>
万人受けしない小説だろう。
長編小説の上、哲学的な表現を多様し、受け入れる砦を高くしている。
とにかく主人公がとことん屈折しているのである。
この手の小説は(興味)を持ってしまえば読めるが、(わからない)と思ってしまった時点でお手上げだろう。
なのに、ナゼかこの小説はロングセラーであり、絶賛され続けいる。
皆に「わからない。理解を超えている。好きになれない」と言われながら尚も売れる不思議。
私も半分ぐらいまでは「なんや?コレ」と思いながら読み進めた。
そこまで思わせながらも完読させてしまう文章運びがあるのだから
白石氏を侮るなかれだ。
一流の出版社勤務のエリートの生活は、何不自由のないモノに見えるが、実は幼少期のトラウマを背負い、現在も田舎に病気の母親を抱える男でもある。
そのギャップが彼を現実の世界に浮いたような考え方、生き方をさせているのだろう。
題名の「僕のなかの壊れていない部分」とは、社会の中で仕事をし、自分で生活をしていると言う1点についていっているのかも知れず、私には主人公が、ノーマルとアブノーマルの境を歩いているように感じた。
一歩踏み間違えてしまえば、今の暮らしを一転させてしまいそうな危うさを持ちながらも男としての色気が漂うがために、「嫌いなりきれない」「どうしても放っておけない」そう思わせてしまう男なのである。

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