イッツ・オンリー・トーク 絲山秋子 著

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20090507_690607<内容>
引っ越しの朝、男に振られた。
やってきた蒲田の街で名前を呼ばれた。
EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢、いとこの居候―。
遠い点と点とが形作る星座のような関係。
ひと夏の出会いと別れをキング・クリムゾンに乗せて
「ムダ話さ」と笑い飛ばすデビュー作。
高崎で乗馬仲間との再会を描く「第七障害」併録。

<感想>
絲山作品3作目読破。
すっかり絲山秋子の文章の世界にハマってしまってる。
小気味良い文章。素っ気なく、味気ないのに時折心にズバッっと突き刺さってくる。
絲山氏の描く主人公の女性が自分と似てるとか、好きだとか実はそんな事はなく、むしろ、友達だったら遠慮したい人かも知れないのだが、主人公の抱えてる事はわかると言うか、きっと絲山氏が伝えたかったのはこの感覚なのだろうなと言う部分が的確に理解できる気がするから心惹かれるのだろう。
表題作「イッツ・オンリー・トーク」の主人公の橘優子は友達だったらキライなヤツかも知れない。しかし、彼女を取り巻く人々(EDの議員・鬱病のヤクザ・痴漢・いとこの居候)の抱える<何か>が橘優子と共鳴しているのがわかるし、痴漢との関係性のは納得できないのに(なるほどなぁ)とさえ思ってしまった。
一転、併録されている「第七障害」はとてもリアリティーがあった。過去読んだ小説の中でも初めてに近い状況設定。主人公・早坂順子を客観的に見て書いてあるので、感情を極力抑えて書かれてあるのだが喪失感・孤独感・虚脱感・漂流感が伝わった。乗馬は絲山氏の趣味らしい。
2編ともに彼女の描く男性像がわりと気に入っている。
「第七障害」の永田篤と早坂順子との関係は好きだ。温かな空気を感じられた。
ところで、映画「やわらかい生活」は本作品が原作だったらしい。
35歳、鬱病を抱える微妙な女性を寺島しのぶが祥一役をトヨエツが演じると言う。早速観てみようと思う。

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