吉田修一 書籍評

最後の息子  吉田修一 著

投稿日:2007-07-25 更新日:


20090507_690616<あらすじ>

表題作の「最後の息子」、「破片」、「Water」の3つの短編小説。
「最後の息子」
・新宿でオカマの閻魔ちゃんと暮らす僕のビデオカメラの映像に映し出された日常。
ビデオ日記に残された映像はとは。第84回文学界新人賞を受賞。
「破片」
・長崎で酒屋を営む父一人子二人の話。親子3人の視点で語られる今と昔。
「Water」
・長崎の高校水泳部員たちの青春を描いた作品。

<感想>
吉田修一氏のデビュー作と言うことで7冊目にして本書を手にした。
「最後の息子」→吉田氏の小説の中で、読む進めることがツラく、やっとの思いで読み終えたのは「最後の息子」が初めて。
登場人物のキャラクターを受け入れることができなかったのが原因。
閻魔ちゃんと言う人間、上手く立ち回る為に閻魔ちゃんを利用しているようなボク。
小説に広がるこの無気力感・空虚感は受け入れがたい。
吉田氏の小説分類だと「パレード」「パーク・ライフ」系か。
「破片」→長崎弁で描かれる世界は好き。
手法は過去と現在が交互に語られるパターン。
父と息子ふたりは社会的に自立してフツーに生活しているのだが、根底には「危うさ」がある。
何が言いたかったのか、どうしたかったのかと言うような
主義主張のないぼやっとした輪郭の小説だが、
私には何となくそれがわかるような気がした。
吉田氏の小説分類だと「ラウンドマーク」に似ているかな。
「Water」→良かった。
作ったような青春じゃなく、この混沌としたもの、それが青春だと心がじわ~っと熱くなった。
人生に迷うこと、自分と言う人間に悩むこと、今ある環境の中で生きていくことに迷うこと。
そんなもの全て高校生活だったなーと思い出した。
心をわしづかみにされるような文章もたくさんあって、14歳の息子に読ませたい!と
読み終えた時に思った。
素直に泣けるシーンもあり、吉田氏には珍しいストレートな青春小説。
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