天使のナイフ 薬丸 岳 著

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20090507_690582<あらすじ>
殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。 妻を惨殺した少年たちが死んでいく。
これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。
「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!
桧山貴志の妻祥子は殺された。僅か13歳の少年たちに。少年法の保護のもとで罰せられる事のない彼等に対する桧山の行き場のない憤り。「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」。4年後、犯人の少年の一人が何者かに殺害される。再び事件と向き合う事になる桧山の前に明かされてゆく真実とは…。

<感想>
新人が書いたものとしてはかなり読み応えがあった。
江戸川乱歩賞受賞も納得の1冊。
半分ぐらいまでは興味は持てるが引き込まれるまでいかず、ダラダラ読み進めてしまっていたが第4章「告白」以降ミステリー色が強くなり一気に読破した。
この小説のテーマは「少年法」。殺人を起こした少年(14歳に満たない)を厳罰にすべきか、それとも子どもの人権を守り、更生に期待を寄せるのか。厳罰派と保護派両者の意見の対立は私が日々思っていることでもある、まさにタイムリーな話題だと思う。
少年の保護の理由もわかるがそれでは殺された被害者、その家族は殺され損なのか?謝罪って何なのか?謝罪することが贖罪なのか?いろんなことを語りかけている。被害者だった桧山がいろんな立場に立つ事で考えを深めていく部分は良く書けていると思う。
社会派小説でありつつミステリー色も大切にしているところは素晴らしい。
薬丸氏は次回作はどんなものを見せてくれるのだろうか?楽しみである。 

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