映画評 邦画

殯の森 *もがりのもり*

投稿日:2007-05-31 更新日:

20090508_6908562007年 / 日本

監督 :河瀬直美

CAST:
うだしげき、尾野真千子

第60回カンヌ国際映画祭コンペティション部門
審査員特別大賞グランプリ

<STORY>
奈良県の東山間部に旧家を改装したグループホーム「ほととぎす」がある。ここでは軽度の認知症を患った人たちが介護スタッフとともに共同生活をしていた。そこで生活するシゲキさんは33年前に亡くした妻を今も思い続けている。そしてここで介護福祉士として働きだした真千子も子供を亡くしてしまった哀しみから立ち直れずにいた。ふたりを中心に「生」と「死」を静かにみつめた作品。

<感想> 評価 ★3
BS-Hiで公開されたのを鑑賞。
奈良の山間部の豊かな自然の映像は素晴らしい。風にざわめく木々、緑の稲波。うっそうと生い茂る様は美しくもあるが恐怖さえ感じる。自然とはなんと奥が深いのだろうか。
物語はドキュメンタリータッチで展開されていく。役者でないご老人たちがいつもの日常を送っているシーンが続くが何かを話しているか聞きづらく言いたいことが理解しにくい。残念。
主役の認知症のシゲキさんがグループホームを訪ねて説法をしているお坊さんに「私は生きてるのですか?」と何度も尋ねる。お坊さんは「生きる」と言うことには意味が2つあり「食べることそのもが生きていると言う事」だけど、あなたの尋ねていることはそれではない。「生きている実感」が欲しいのですねと言う。誰かに手を握られ温かいと感じる実感。ご飯を食べ、それをおいしいと思える実感。私達が一般的に「生きている」と表現する感覚はまさにこの「実感」の部分だろう。それだけ、人は生きることに意味を持ちたがり、実感することで生きていく力が湧く。
主役の真千子も子供を不慮の事故で亡くし、それを自分の罪だと背負っている。夫とは離婚。「生きることの意味を失ってしまった」女性である。その真千子がシゲキさんと山を彷徨うハプニングを通して感情を浄化させていく様は胸をついた。
シゲキさんは妻の墓を愛おしそうに撫で、添い寝する。そこに奥さんがいるように。昨今流行っている「千の風になって」とは対極だなぁと思ってしまった。

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