歌舞伎 観劇記

シネマ歌舞伎2014 6月「女殺油地獄」

投稿日:2014-06-28 更新日:

「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」

2009年6月,歌舞伎座上演

<CAST>
片岡仁左衛門、片岡孝太郎、板東彌十郎、片岡千之助
板東新悟、中村梅枝、片岡市蔵、市川右之助、片岡秀太郎、中村梅玉

作:近松門左衛門

20140705_868151<STORY>
複雑な家庭環境により荒んだ生活を送る大阪天満の油屋河内屋の息子・与兵衛は、店の有り金を持出しては馴染の芸妓小菊に入れあげている。 金に困った与兵衛は、継父の徳兵衛に金策を頼むが断られ逆上、家族に暴力を振るう始末。見かねた母・おさわが勘当を迫ると自棄を起こして家を飛び出すのだが、借りた金の返済は迫り、途方に暮れる。一方、徳兵衛とおさわは同業の豊島屋の女房お吉を訪ね、与兵衛を家に帰るよう諭してくれと涙ながらに頼み、銭を預けて帰って行った。このやりとりを物陰で密かに聞いていた与兵衛は、その親心に涙を流し、銭を受け取る。しかし借金額には程遠い為、お吉に借金を申し出るのだが、断固として拒絶されてしまい・・・。

<感想> 評価 ★4
仁左衛門氏が1964年に初演、カレの出世作であり、当たり役とされた河内屋与兵衛を「シネマ歌舞伎」で観ることができました。この映画は、”歌舞伎座さよなら公演”でも映像です。
歌舞伎役者で誰が好き?と聴かれたら「片岡仁左衛門」と答えるくらい、仁左衛門さんが好きです。
歌舞伎役者としてカレを詳しく知るワケではありませんが、子どもの頃「片岡孝夫」として活躍されていた頃からのファンでした。背が高く、銀縁のメガネをかけ、柔らかく微笑む姿は、私の大好きな仁左衛門さんです。
仁左衛門さんのすごいところは、歌舞伎をすると普段と全然違う魅力が引き出されるところじゃないかと思います。
当たり役とされる与兵衛は、遊び惚けるどら息子役ですが、それが不思議と色っぽい!
まなざし、所作、どれをとっても男の色気を感じます。
しかも、この作品は仁左衛門さんが65歳の作品です。しかし舞台上のカレは絶対に65歳には見えません。
お吉を演じている息子:片岡孝太郎さんよりも若く見えたほど。すごいなぁ~役者って。
物語は江戸時代に近松門左衛門が書いた世話浄瑠璃。今から200年も前の話なので、現代にも通じるバカ息子の話です。とにかく最低のどら息子なワケで、観ていて腹が立つほど。だけど、それを仁左衛門が歌舞伎の様式美でもって見せ続けます。
つまり、共感を得られない物語なのに、引き込まれて観てしまうのです。
与兵衛を心配し、親の気持ちがわかるなら性根を入れ直さないとと諭すお吉に、お金を工面して欲しいがために、色気で落とそうとしてり、最後は金を奪うためだけに殺しに至るそのシーンを、歌舞伎の美しさで見せるすごさ。
これこそ歌舞伎美!です。
見せ場である豊島屋で油まみれになりながらお吉を殺すシーンは、仁左衛門さんの取り憑かれたような表情が印象的で忘れられません。歌舞伎を通してひとの狂気を知った気がしました。いや~、すごかった・・・
この先、誰が仁左衛門与兵衛を越えるのか?ちがう意味でソレも楽しみになりました。

 

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