2011年 / 英 監督:フィリダ・ロイド CAST: メリル・ストリープ、ハリー・ロイド、ジム・ブロードベント アレクサンドラ・ローチ、アンソニー・ヘッド 2012年第84回アカデミー賞主演女優賞受賞 メリル・ストリープ |
<STORY>
雑貨商の家に生まれたマーガレットは市長も務めた父の影響で政治を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャーがプロポーズ。「食器を洗って一生を終えるつもりはないのと」野心を隠さないマーガレットを、デニスは寛容に受け入れる。双子にも恵まれ、幸せな家族を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。失墜した英国を再建する。それは気の遠くなるような闘いだったが、彼女はその困難に立ち向かう。愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、マーガレットは深い孤独を抱えたままたった一人で闘い続けた……。現在のロンドン。どんなに苦しい時も支え続けてくれた夫・デニスは既に他界した。だが、マーガレットは未だに夫の死を認識していないのか、時折不可解な行動が目立つ。思い出の洪水の中で、デニスの遺品を手に取り彼女は「あなたは幸せだった?」とつぶやく日々・・・。
<感想> 評価 ★3.5
WOWOWで録画、そのうち見ようと思っていた「マーガレット・サッチャー」。見ないうちに、4/8にサッチャー元英国首相が死去してしまいました。87歳だそうです。
ま、いつも録画したまま放置してしまう私に、この作品を鑑賞させたのは「サッチャー死去」に他なりません(-“-;A …
一言でこの作品を評するなら、メリル・ストリープ、圧巻の演技に尽きます。
40代~80代までのサッチャーを演じ分けたメリル。冒頭に登場する80代で痴呆気味のサッチャーはメリルと思えないほどです。
私の記憶に残るサッチャーとメリル演じるサッチャーはほんとに似ており、ちがうと思ったのは声音でしたが、この声もナゼあの抑えた低い声音になったかが映画の中で明かされています。
10代後半から20代前半のサッチャーをアレクサンドラ・ローチが演じていましたが、彼女からメリルに変わるシーンも違和感がなくてすごいと思いました。
若い頃のデニス(夫)を演じたハリー・ロイド!良かったですねぇ~。かなりのイケメンでしたし、雰囲気がすごく良い!出演時間短いのに印象に残った俳優です。
サッチャーがデニスから「結婚しよう」と告げられるシーン、キュートで良かったです@
この作品はサッチャーの功績の映画ではありません。マーガレットと言うひとりの女性の生き方を描いています。
映画の中で、印象的なシーンのひとつに診察を受けるサッチャーに対し、医師が「どんな感じですか?」と問いかけるシーンがありました。サッチャーは医師に、
「(どんな感じですか?)って?私が大切にしているのは、どう感じるかじゃなく”どう考えるか”なの」と。
[考え]が[言葉]になり、[言葉]は行動になり、[行動]は習慣になり、[習慣]は人格になり[人格]は運命を形造る
このような内容だったと思います。この言葉、すごいです。感動してしまいました。そしてサッチャーはまさしくこの言葉を信条にして生きたひとだと思います。
政治家として生きる信念の元に行動したマーガレットは、双子の子どもとも夫とも軋轢があったようで、それを80歳になり深く後悔している姿が描かれていました。どんなものにも一長一短があります。どれだけ完璧な人間でも完全なる両立などできるはずがないですもんね。華やかに見えるサッチャーの裏面を切なく思います。
奇しくも、彼女の死去によって、政治家としてのサッチャーを知る機会にもなりました。
1979年から11年余り首相だったサッチャー。彼女の死去に伴い、英国では「サッチャーは救世主か、破壊者か、あるいは両方か」と国論を二分しているそうです。
この作品に描かれているマーガレットは、若い時から80代まで。いくつであろうと、どんな困難であっても「自分の信念を貫く」女性でした。彼女が「鉄の女」と称される由来もこの姿勢からでしょう。
サッチャーを師と仰ぐキャメロン首相さえも「一方で愛され、もう一方では憎まれたことは否定できない」と語ったそうです。
70年代の不況脱却のために、徹底した民営化を断行。金融・サービス業を重視した結果、元々繁栄していた製造業の衰退を招き、失業者の増加、貧富の差の拡大を生んだ負の評価もあるようです。
そんなワケで、英国で有名な女性:サッチャーの国葬級の葬儀にさえ反対の声もあがっているとか。きっと、マーガレットは国葬など望まないんじゃないかって思った私です。
最後にまたまた・・・邦題に文句。原題「THE IRON LADY」。原題のままで良かったんじゃないのかな?邦題にするにしても「涙」って部分がいらないと思います。
コメント待ってます♪
鉄の女の涙て・・・おっしゃると~り おかしいなあ
観たい映画のひとつです
「どう考えるか」については共感できますわ
でもその前に どう感じるかがとても大事やで
センスのない人はいくら考えても
広がりはないやろ
て・・・言いたい
窮地の私の叫びです
幸並さん
ぜひ観てくださいね!メリル・ストリープはあんまり好きな女優ではないけれど、この作品ではすごかった。
幸並さんが言うみたく、「どう感じるか」も大事かも。
それは自分がどう感じるかだけじゃなく、ひとがどう思っているか、考えているかも加えられたら指導者としては最高でしょうね。
サッチャー氏は、結局その部分が少なかったか、もしくはあっても感情を加えたくなかったのかも知れません。
<感情>を加えることで、決断が鈍ると考えたのかも?映画を観てそう思いました。