<あらすじ>
田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・美帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた美帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だったー。
<感想>
「永遠の0」に出会ってしまった。ので、本書も、思わず買ってしまったではないか!百田尚樹氏にやられているなと思う。
「モンスター」の主人公は、醜く生まれてしまったコトで運命にも、自分自身の感情にも翻弄された”美帆”と名乗る女性の生き様を描いた小説でした。
よくある話ではあるけれど、緻密な美容形成の知識を織り込んであるので絵空事ではなく、日本の、いや世界のどこかには”美帆”が存在するだろうと思えます。
私は、和田アキ子が司会するTV番組「ビューティーコロシアム」を思いながら読んでいました。男性は、美容形成をしていても美しい女性がいいんでしょうね・・。そう多くの女性がそう感じているから「美」を意識し、中には死ぬまでこだわり続けるひとがいるんだと思います。それは、モテたいと言うよりも、男性だけでなく、女性からも、老若男女問わず<自分の美しさに感嘆してもらいたい>と言う上位思考のひとつだと思います。ま、多くの女性が私のように美しくありたいけど、努力はさしてしたくなくて、美人と言われることを諦めており、違うことで自分をアピールしていこうと思っていると思いますが。
幼少期の美帆は自分をブスだとは気づいていません。医学的に美醜の区別をし出すのは4~5歳と聞いたことがあるので、当然でしょう。大きくなるにつれて、母親にブスだと言われて気づきだし、思春期でブスを自覚します。その間、悪くなかった性格までもが、いじめを受けたりすることで、性格ブスになっていきます。その経緯を読みながら(そら、そうなるわな、こんな扱いされたら)と思うのです。
美しくなりたい、過去の思いを寄せた男性に自分を愛してもらいたいと思い続け、その目標に向かってただひたすら突き進み、手に入れかけた時に気づく、どれだけ外見を変えても変えることができないアイデンティティーを見せられる作品でした。
むずかしい小説ではないので、読みやすいと思います。
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