2006年/独 監督 :トム・ティクヴァ CAST: ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン アンドレス・エレーラ |
<STORY>
18世紀のパリ。悪臭立ちこめる魚市場で産み落とされたグルヌイユは、育児所に引き取られ孤独な少年時代を送る。そんな彼には、超人的な嗅覚が備わっていた。青年となった彼はある時、赤毛の少女が発する匂いに激しく心を奪われるのだったが…。
<感想> 評価 ★4
この作品が好きだ。映画から放たれる存在感に圧倒され、陶酔させられる感覚さえ感じた。これは映画だからこそ出せたもので、ドラマやお芝居では出せないものだと思う。
原作はパトリック・ジュースキントの禁断のベストセラー「香水 ある人殺しの物語」。私は原作を読まずして映画を観た。
スクリーンに映し出される瑞々しい果物・美しい女性・パリの街並み・魚市場の喧噪・・・などの映像が観る側の想像力を掻き立て、あるはずのない匂いを感じさせる。
芸術的で感覚的(臭覚)で、優美で、グロテスクで哲学的。なので少々こむずかしいように思えるかもしれないけれど、中身は何かの思想を押しつけたりする堅苦しいものではなく、「におい」に囚われ、においだけが「生」を感じると言う青年ジャン=バティスト・グルヌイユの「におい」に終始した人生の物語。
話題になったラストシーンは、私の想像するものと違う形だったけど圧巻だった。
人が感じる愛、愛されることを知らずに生きたジャン・バティスト・グルヌイユは人ではなかったと言う結論なんだろうなーと言うのが私の見終わっての感想。
映画の醍醐味、映像に酔って観れる作品だった。
また、トム・ディクヴァ監督の他作品に「ヘヴン」があるが、この作品も映像に惹かれた映画だったので私はこの監督と相性がいいのかも知れない。
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