ノートルダムの鐘 京都劇場(初)

劇団四季観劇記

7月23日に開幕の「ノートルダムの鐘 京都公演」を観てきました‼

このミュージカルについて、いろいろ思うことがあって記事がとても長くなってしまったので、テーマごとにまとめました

劇団四季「ノートルダムの鐘」の印象

2016年12月東京四季劇場「秋」での初演から約半年。
関西では当分観られないんだろうと思っていただけに(「アラジン」「リトルマーメイド」も関西はまだ)
まさか早々に関西で観ることが出来るなんて!
とてもうれしかった💓

昨年からどっぷり「キャッツ」に魅せられています。
それは、キャッツを観るたびに気持ちが高揚し、幸せを感じるから。

しかし、「ノートルダムの鐘」は、冒頭から(あぁ・・しんどい)と心にズシンと、胸に苦しさを感じました。
それは悪い意味でなく、この作品は私たちに「人間とはなんなのか」「愛とは何か」「人を狂わせるものの怖さ」を問う作品だからです。

キャッツが楽しくワクワクする作品とするなら、ノートルダムはある部分、対極の作品。

東京公演は半年。
京都公演に至ってはたったの2ヶ月と言う期間限定感‼

夏の時期なだけに、個人的に予定が詰まっていたため、今回ゲットしたチケットはたったの1回。
それで満足できるかな?と思っていたのに、見終わった今、チケット売買サイトを検索してしまう~(※チケット完売のため)

もう1回観たい‼ 
ほんとうに心が震える素晴らしいミュージカルでした。

 

ストーリー、脚本、演出が秀逸

原作はヴィクトル・ユゴーの「ノートル=ダム・ド・パリ」
子どもの頃、「パリのせむし男」の本を読んだ記憶がありますが、この作品は、ストーリー、脚本、演出すべて、原作とも、ディズニーアニメ「ノートルダムの鐘」とも違うミュージカルのオリジナルver。
細かく言うと、人物像の設定や、ラストシーンなど違うそうです。

とにかくこのミュージカルは、ストーリー、脚本、演出が秀逸でした‼ 

まず、脚本はオトナ向けです‼
この作品の伝えたい部分はオトナでないと完全理解できないでしょう。

冒頭。若い頃のフロローとフロローの弟のエピソードが展開されます。

真面目で神に仕えようと努力するフロローに反して、自由気ままで明るい弟が、兄(フロロー)の誕生日にジプシーの女を教会へ連れ込んだことを咎められ、大聖堂から破門にされてしまいます。兄フロローは弟のことを気にかけながら、真摯に神に仕え、大司祭までになります。
数年後、大司祭フロローの元に弟から手紙が届き、会いに行くと、弟は病で死の淵に。
弟は兄フロローに「ジプシーの女は天然痘で死んだ。ふたりの子どもを育てて欲しい」と言い残し亡くなります。
託された赤ん坊は怪物のように醜かったためフロローは悩み葛藤した挙げ句、人目から隠して大聖堂で育てることに。
その赤ん坊こそが鐘つきせむし男のカジモド・・・。

⬆このように、サラッ~と説明され始まるのですが、このプロローグがあるからこそ、フロローの気持ち、カジモドの気持ちを理解することができる大きなカギになっていました。

このプロローグがなければ、フロローのカジモドへの態度、ジプシーを憎しみ嫌う理由、エスメラルダに心惹かれる感情など、神に仕える身である大司祭が、ナゼ感情に支配される怪物と化したのかを理解できなかったろうと思います。
このプロローグがなければ、間違いなく「神に仕えてるクセに、ただのアホエロジジィやん!」と思ったハズ(笑)

ラストシーンもミュージカルならではの脚本、演出。
エスメラルダに愛を尽くしたカジモドでしたが、彼女にとってカジモドは”素敵な友だち”にしかすぎないワケで、カジモドの愛は報われず、そして愛する彼女も死んでしまいます。
そして、愛するもの同士のフィーバスとエスメラルダも彼女の死によって悲恋で終わります。

カジモドは死んだエスメラルダをフィーバスには渡さず、担いで消えます。

ラストシーン。
カジモドは、顔もキレイで身体も変形していない男に戻り、健常者役だったキャストが皆、顔を変形させ、身体も曲がるなどカジモドのような見かけに変化。そしてナレーションの形で

数年後、ノートルダムの地下室で2体の白骨が発見された。
1体の白骨はもう一方を抱きしめていたという。
1人は編んだ魔除けを首にかけた女。もう1人は背骨がひどく曲がった男。
2体の遺体を引き離そうとした時、男の骨は砕け散った、粉々に。

と語られるのですが、これがググッ~と心に迫ります。

冒頭からラストまで、救いのないストーリー展開ではありますが、不思議に悲惨だったなと言う気持ちは残らず・・・
見かけが怪物のカジモド と 心が怪物になってしまったフロローとの対比がとても上手く表現されている脚本だと思いました。

 

キャストの感想

フロロー:野中万寿夫さん(カレのガストン覚えてる!あれは20年ぐらい前か?)

野中フロローは、カジモドに愛情を示そうとしない叔父であり、敬虔な信者であることに異様に執着している男を表現していたと思います。
それゆえ、エスメラルダに卑猥感情を持ってしまった自分自身に後ろめたさと腹立たしさを感じ、そのコントロールつかない苛立ちをカジモドに厳しく当たることで整理しているように感じられました。

カジモド:飯田達郎さん

飯田カジモドは、愛することも、愛されることも知らなかったカジモドが、それを知っていく課程と、カレがひとりの男として成長していく姿を丁寧に表現されてると思いました。
ほんとうに歌声が、表現力が素晴らしかったです。

普通の状態で登場してきた飯田カジモドは、舞台の真ん中で背中に”コブ”を背負い、顔を歪めて汚し、カジモドに変わります
その演出も素晴らしいですが、飯田カジモドが歌う「陽射しの中へ」が素晴らしすぎ!
まだミュージカルがスタートした早々で、胸が締め付けられ、涙が溢れました

エスメラルダ:宮田 愛さん

歌も上手いしダンスも上手い。まさに魅力的なエスメラルダでした。
気の強いエスメラルダの演出も、ジプシーとして生きている彼女らしいと思えます。
カジモドには終始「友だち」として接する表現でしたので、カジモドが彼女に想いを寄せても、一方的な片想いであることがわかりやすく伝わりました。

フィーバス:佐久間 仁さん

背が高く手足が長いイケメン系なので、エスメラルダと恋に落ちるストーリーも違和感なし(笑)
演出で、兵士として戦場へ行き、多くの仲間を亡くし、つらい記憶を抱えて帰還。大聖堂警備隊長を任されることになったけれど、今はただ、息抜きいたいと言う設定でしたので、「ジプシーを捕らえ、処刑だ」と叫ぶフロローの理不尽過ぎる指示に反旗を翻す経緯も理解できました。

牢獄の中でフィーバスとエスメラルダが歌う「いつか」は鳥肌立った~。
めっちゃ良かったし泣けたし~。コレ、名曲。
フィーバスがエスメラルダを後ろから強く抱きしめるシーン・・・胸が締め付けられつつ、キュン💕

 

クロパン:吉賀陶馬ワイスさん

ジーザスでも何度でも観ている。
ん~でもあの歌声がどうしても私にハマってこない。
声が高いからか?クロパンのイメージはもう少し低めの歌声を想像してしまってたので😥

 

京都公演を見終わった今の気持ち

見終わって、ジワジワ良かったなぁ~と。もう1度観たいなぁ~と思っています。
楽曲もこんなに良いとは思わなくて、四季Ver.のCD、買えば良かったと後悔中。

今までに劇団四季の作品と少し違う印象の作品だったことは間違いないです。

クワイヤ(聖歌隊)が歌う賛美歌で、舞台が一気に大聖堂になる演出も良かったし、友だちのいないカジモドが、石像と会話するシーンが何度もあるのだけど、あれも違和感がない演出。

カジモドが全身でノートルダムの鐘をつくシーン、印象に深く残るシーンのひとつでした。

残念なことに京都公演の千秋楽は決まっているし、次は来年に神奈川県だそうで・・・
見に行くのも大変な劇場だけど・・・行くかも知れない(笑)

キャスト

本日のキャスト 2017/09/08

カジモド飯田達郎フロロー野中万寿夫
エスメラルダ宮田 愛フィーバス佐久間 仁
クロパン𠮷賀陶馬ワイス
<男性アンサンブル>
中橋耕平佐藤圭一宇瀧真吾吉田功太郎
<女性アンサンブル>
小川晃世大森真理町島歌奈小島由夏
<男性クワイヤ(聖歌隊)>
白山博基柳 隆幸山下泰明日浦眞矩
澤村楽人新井 克河野陽介井上隆司
<女性クワイヤ(聖歌隊)>
中山理沙片山美唯青柳歌奈潮崎亜耶
織笠里佳子北野有希依秋山知子杉山由衣

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