<あらすじ>
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂。暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女はその後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして19年・・・。息詰まる精密な構成と叙事詩的スケール。
心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長編!
<感想>
私の中で東野圭吾氏の小説のNo.1はダントツで「白夜行」。のめり込んで読んだ。
ミステリー中心に軽めからノワール色の強いものまでいろんなタイプの小説を書いている東野氏だが、ノワール系小説好きはこれを読まずして東野圭吾を語るな!と言い切れる。
単行本の厚さ3.5センチ、854ページ。
読む気力さえ失せそうな重厚な本を手にして途方に暮れる間もなく一気に読みほした。
「幻夜」と違い小説の中で雪穂と桐原亮司との直接接点がないため、いつどこで繋がるのか?が読み進めてしまうきっかけになったし大学時代のダンス部の篠原一成との関係もどうなるのだ?と期待してしまった。
以後、ネタバレ
結局、雪穂と亮司は接点がないまま状況証拠だけで終わってしまうし、篠原一成との関係も雪穂はどう思っていたのか謎のまま。亮司にしても雪穂を愛していたからこその関係だったかどうかも利用した彼女とのセックスの記述のみで想像するしかない分、想像する、させると言うところがこの小説の最大の魅力なのかも知れない。普通、ここまではっきりさせずに謎を残して終わると「中途半端やで」と怒りも湧きそうなのにこの小説に限ってそれがないのはナゼだろう?それが東野氏の筆力なのだろうか。
コメント待ってます♪