東京湾景  吉田修一 著

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<あらすじ>
つまらないきっかけから、出会いサイトに登録した亮介は「凉子」と名乗る女性と出会う。文字通り本当に火傷を負う狂おしいくらいの恋愛をしてきた亮介と、恋愛など信じていない「凉子」という偽名を使い続ける美緒。次第に惹かれ合っていき、密な関係へと発展していくように思えるものの、実は歯車は互いに反対の方向へと動いていた…。

<感想>
東京って恋愛を題材にするには絵になる街だ。
品川の倉庫街と海を挟んで目の前に見えるお台場を舞台に「出会い系サイト」なる現代のツールを噛み合わせての小説は、心よりもナゼかセックスにのめり込むふたりを描いているにも関わらず、吉田修一らしく生々しいところはなく、どこか醒めた1歩下がったところから見つめているような書き口で描かれている。それが吉田修一らしさと云うのかも知れないが、ドロドロに描く部分もあって欲しかったような気もするし、「涼子」を名乗る美緒がナゼ恋愛を信じていないのかが描かれてなくて感情移入できなかったのが残念。

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