2016年 シアターコクーン上演
鶴屋南北「東海四谷怪談」より
演出:串田和美
舞台中継でもない、劇映画でもない、
監督:串田和美が描く新感覚シアトリカル・ムービー第2弾!
<あらすじ>
刹那的に己の欲に生きる民谷伊右衛門と直助権兵衛。男たちに翻弄され、哀しき運命を辿るお袖。そして怨みを募らせ、亡霊となって復讐するお岩。
本能と欲望が混沌と渦巻く物語が繰り広げられる。
民谷伊左衛門 | 中村獅童 |
お袖 | 中村七之助 |
直助権兵衛 | 中村勘九郎 |
お岩 / 佐藤与茂七 | 中村扇雀 |
伊藤喜兵衛 / お熊 | 笹野高史 |
小汐田又之丞 | 首藤康之 |
按摩宅悦役 | 片岡亀蔵 |
<感想> 評価 ★3
前衛的な作品で、私は映画の途中から(ついて行けない)と思ってしまいました~😰
もはやこの作品は歌舞伎じゃありません。歌舞伎の形態を使った芝居です!
そもそも「コクーン歌舞伎」は1994年、中村勘三郎さんらによって、従来の歌舞伎の概念を破る演出をする歌舞伎 を目指して誕生したそうです。 それから考えると、この作品は十分に概念を破っている作品ですね。
四谷怪談と言えば、「他に好きな女が出来た伊右衛門。妻は毒薬を呑まされ苦しみ、顔がただれて、恨み狂い死ぬ」と言うストーリーが有名ですが、本作は内容が少し違いましたし、お岩の妹:お袖と直助権兵衛の話しが加わり、メインの話しが2本立てで展開されました。
悪役は、ふたりの男(直助と伊右衛門)。その男たちに翻弄され、ひどい運命を辿らされることとなる姉妹(お岩とお袖)の話しが大筋ですが、どっちも厚みのあるストーリーなゆえ、結局どっちつかずの展開になってたなぁと思います。
よくよく考えると、お袖さん。許嫁は赤穂浪士の一人で、討ち入りに忙しくお袖のことは放置。
お袖は淋しいだけでなく、お金もない。物売りをし生計を立てているが、ついに売春宿で働きはじめる。しかし、最初の客が、許嫁の佐藤与茂七と言う笑えないブラックな設定!
そのお袖を一途に思うは悪党、直助権兵衛。
与茂七さえ居なくなれば、お袖は自分のものだとばかり、与茂七を殺害。「仇を討ってやる」と言ってお袖と仮の夫婦として生活することに。
悪党なのに、愛するお袖には一途な愛を捧げる権兵衛。
一方、イケメンで剣の達人だがヘタレでビビリの小悪党:伊右衛門。
子どもっぽいその性格で、公金横領はするし、復縁したお岩の産後のひだちが悪いことを疎ましく思うなど、優しさのかけらもない。
こうして文章にすると、どれも現代に通じるなぁと気づきましたが、歌舞伎の舞台に突如現れる、ブリーフケースを持ったスーツのサラリーマンたちがやっぱり違和感~。
それでも、扇雀さん演じるお岩が、服毒からの髪梳き、そして絶命するまでの一連のお話は、圧倒的で釘付けになりました。
お岩さんが髪をすくごとに、ごっそり抜ける髪・・・背中がゾクゾクっとする怖さを感じました。
そして、勘九郎さん。
演じている時の勘九郎さんは、セクシーなのよねぇ~。
普段見ていると、何も感じないんだけどね。
舞台の上で演じる勘九郎さんには、色気を感じます。
好きだわ~。今、1番好きな歌舞伎俳優です。
結局、「四谷怪談」の話しをちゃんと理解していない人(私のような)には、この演出は理解しにくかったんだろうと思います。
この作品を見る前に、もう少し人物像だけでも勉強しとくんだったな~(反省)
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