アカペラ 山本文緒 著

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20090505_689566<あらすじ>

ぼけ気味の祖父を慕う15歳の少女を描いた「アカペラ」をはじめ、故郷を捨てた自称ダメ男:春一が20年ぶりに故郷を訪れる「ソリチュード」。病弱な弟と姉のちょっと変わった愛情の物語「ネロリ」の3本を収録。
ひたむきに、健気に、静かにそーっと生きるあなたに、切ないほどの優しさがゆるやかに胸にしみ入る珠玉の小説集。

<感想>
待ちに待ったフミオさんの6年ぶりの新刊。
再婚、直木賞受賞・・・作家道を順調に歩まれていると思っていたのに、実はうつ病で苦しい日々を過ごされることになっていたと知るのはずっとあと。(詳細は「再婚生活」に書かれている)
フミオさんの感性が自分の中にある潜在意識の”なにか”といつも共鳴するから彼女の小説が大好きで、ほぼ全部読んでいる。
「再婚生活」は彼女がウツで苦しかった時期の日記様で、共鳴するのが怖くて読まずにいるが、新刊をどれほど待望していたことか。
本作「アカペラ」の中に収められた3つの短編のどれもがフミオさんで、どれもに新しいフミオさんを感じられ、自分の読書スピードの速さを悲しく思うほどにフミオさんを感じて読み終えた。
もちろん、フミオファンの甘い採点であることも十分承知。それでも彼女のこれからの小説を心から楽しみにしている。

3編とも主人公にもその周りに人たちにも、切なさ、苦しさが漂っていて、この感覚がフミオさんだなって。人の幸せ、人を好きになることに人の感覚なんて関係なくて、様々な形があるんだと言うことを感じられる作品たちでした。中でも私が1番好きなのは「ソリチュード」。ダメダメな春一に惹かれる自分に気づいたぐらい。

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