ハマりきれない”バケモノの子”大阪公演(2回目)

劇団四季観劇記

バケモノの子、開幕から1ヶ月

開幕から約1ヶ月。今回、2回目の観劇をしてきました。
「バケモノの子」の高評価を耳にし、期待値が高まりまくっていたせいなのか、思っていたよりハマらなかった初見。今回は展開をわかった上での観劇になりました。
だけどやっぱりあまりハマらない私。

 

ハマれない理由を考察

私がハマれない理由を自分なりに分析してみました。

1、プロローグがイマイチ

大抵のミュージカルは、”プロローグ”、いわゆるオープニングで一気にそのミュージカルの世界へ観客を誘ってくれるものです。「ライオンキング」、「ノートルダムの鐘」、「オペラ座の怪人」etc・・・”プロローグ”が私をサバンナへ、パリの街へと連れてってくれます。
その感覚こそミュージカルの魅力のひとつでもあると思うんですが、「バケモノの子」はそのプロローグに魅力がないのです
バケモノの世界=渋天街や、そこに住むバケモノに魅力も、逆に恐怖も感じない。
そして現代劇であるが故、渋谷も夢の国でもない。
ミュージカルが始まっても私は、【大阪】にいるままなので「バケモノ」の世界にハマれない。

2,バケモノの世界って何

バケモノが住む渋天街は、渋谷のどこかから行けるらしい設定。人間は簡単に渋天街に行けないようだけど、バケモノたちは簡単に行き来できるらしい。
そのクセ、渋谷では現れたバケモノを怖がることも、差別する様子もない。となると、バケモノの世界って何と言う違和感を持ってしまう。
人間にはバケモノが見えないとか、バケモノを怖がるとか、なにか区別するものがなければ、感情移入しにくい。

3,熊徹と九太のエピソードが薄い

宗師から弟子を取ることで精神的成長を促された熊徹は、バケモノたちに相手にされないため、人間を弟子にしようと考えるわけですが、なんで人間を弟子にしようとしたかの根拠が薄い上、九太と出会い、九太への複雑な気持ちの表現が薄すぎる。
ここをもっと丁寧に描いてくれれば、後半、もっと感動するのにと思う。
渋天街のバケモノたちが九太に修行を教えるシーンにあれだけ時間を割くなら、もっと熊徹と九太との関わりに時間を使ってほしかった。

 

4,一郎彦の心の変化を1曲だけで表現していること

初見は菊池@一郎彦、今回は宇都宮@一郎彦でした。
菊池さんは淡々と、宇都宮さんは熱情的に一郎彦の気持ちを表現されていました。
個人的には宇都宮@一郎彦の表現の方が苦悩や心の変化が伝わったと思うのですが、なんせ一郎彦は1曲でそれを表現する演出。これで心の機微まで理解するのは難易度が高いと思う。

5,九太が一郎彦を助ける気持ちに寄り添えない

熊徹らバケモノに育ててもらった九太は、青年になり自分のアイデンティティに悩みはじめるが、自由に人間の世界=渋谷と渋天街を行き来し、楓と出会うことで父親に会う勇気を持ち、どんどん自分が何者なのかを捜し続けるのに対し、獅子王の長男として育った一郎彦は牙が生えないことにひとり苦しみ、心に闇を宿してしまう。
そこは理解できるが、少年時代から九太と一郎彦は友だちでも、逆に敵対関係でもない。
一郎彦は人間である九太と距離を取り、九太も一郎彦を意識せず育ってる。
なのに父親代わりの熊徹を殺そうとした一郎彦と対峙し、助けようとする。その心の変化がわからないから九太の気持ちが理解しきれない。

 

6,音楽問題

「胸の中の剣」、「バケモノの子」など印象に残る楽曲があるものの、そのどれもがもう一歩の印象。
「修行」や「ハロウィン・ナイト」なんかはノリ切れない
もちろんクオリティは十分高く、大鹿礼生@九太の歌声は素晴らしいし、ステージに立ち、歌いだしただけで韓@熊徹の世界観に持っていくその実力は素晴らしいのだが・・・。

チケットは3月分があります。
もうそれでバケモノの子はいいかな。そう思っています。
たぶん個人的にはハマれない部類のミュージカルなのかなと。

 

本日のキャスト

2024-01-12 大阪公演マチネ

■初見  ★キャスト違い初見 

熊徹 韓 盛治 蓮 / 九太(青年) 大鹿礼生
獅子王 ■伊藤潤一郎 一郎彦(青年) ■宇都宮千織
多々良 川島 創 百秋坊 ■百々義則
二郎丸(青年) ■筒井圭児 宗師 増山美保
■山梨史奈 蓮の母 清水智紗子
蓮 / 九太(少年) ■茨木耀太 一郎彦(少年) ■上田友嗣
二郎丸(少年) ■田村颯将     
       
【男性アンサンブル】   【女性アンサンブル】  
蓮の父 小出敏英 猪王山の妻 ■西浦歌織
中村 伝 ■丹下博喜 小島絵里衣 持田紗希
宮野 薫 ■佐藤幸治 ■空田あかり ■桂田菜那
■片山怜也 ■大脇史門 ■森田江里佳 ■田原沙織
■長谷部共音 新庄真一 多田毬奈  
       

 

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