アントキノイノチ  さだまさし 著

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20111209_2474763<あらすじ>
杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに二度、その男を殺しかけ、高校を中退して以来、他人とうまく関われなくなっていた。遺品整理会社の見習いとなった彼の心は、凄惨な現場でも誠実に汗を流す会社の先輩達や同じ年のゆきちゃんと過ごすことでほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り・・。「命」の意味を問う感動長編。

<感想>
映画化され、岡田将生と榮倉奈々主演で話題の小説を読みました。読む予定はなかったのだけど、貸してもらったので。こうして出会う本も縁やと思います。予想に反していい小説で、読みやすかったです。
小説を読みながら、イメージで主人公:永島杏平は岡田将生だったし、ゆきちゃんと呼ばれている居酒屋バイトの女の子は榮倉奈々を想像していました。杏平役に岡田くんはピッタリだと思います。
小説の中に流れるのは、優しくて温かなものです。私は左相さんが好きです。たぶん心の痛手を負ったことのあるだろう左相さん。だからとても温かで、大きくてそして遺品整理業のプロとしての生き様に心を動かされました。
今年の3月に義父を亡くしました。そのとき、映画化されたことで知った「納棺師」に父の身支度をしていただきました。あの厳かで尊い時間を思い出しました。ひとの命はどれでもすべてが尊いです。その人の人生の最後の整理を行うクーパーズの仕事は、現代には必要な仕事だと思います。そしてその仕事につく方にはぜひこの小説のような方々であって欲しいと思います。
杏平、そしてゆきちゃんと関わりを持つ高校時代の「松井くん」。私の人生の中にも、このようなヤツがいた記憶があります。イヤなヤツだけどそう言うヤツは生き上手なんですよね。許せないし生きている価値などないと思うけれど、じゃぁ殺害しても良いのか?と言う点にも小説は触れています。人間は人と関係を持って生きてるワケで、逃げたくて、切りたくても縁の切れない人がいるもんです。遺品整理専門サービス業を通して、ひとの人生を考え、自分の生き方を見つめ直すコトができたように思います。
本の解説を映画監督の瀬々敬久氏が書いています。クーパーズのモデルになった会社は実際に東京に存在するようで、同じような方々が遺品整理のお仕事をされているそうです。いないのは杏平とゆきちゃん、そして皆が良くいく居酒屋さんぐらいだそうです。
実際にあったコトを小説にしたんだと知りました。
映画の公式サイトで調べてみたら、左相さん役を原田泰造が演じたようです。少しイメージと違ったけど、映画も観たくなる小説でした。
ぜひ中高生にも読んでもらいたいですね。読みやすいですし映画化もされていることで入りやすいと思うので。そして「命」について、生きることについて考えてもらいたいと思いました。

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