<あらすじ>
エリート銀行員の仁藤俊実が意外な理由で妻子を殺害、逮捕・拘留された安治川事件。犯人の仁藤は世間を騒がせ、ワイドショーでも連日報道された。この事件に興味をもった小説家の「私」は、ノンフィクションとしてまとめるべく関係者の取材を始める。 周辺の人物は一様に「仁藤はいい人」と語るが、一方で冷酷な一面もあるようだ。さらに、仁藤の元同僚、大学の同級生らが不審な死を遂げていることが判明し……。 仁藤は本当に殺人を犯しているのか、そしてその理由とは!?
<感想>
貫井徳郎氏との出会いは「慟哭」。これは今でも衝撃だった記憶がある。この「慟哭」がきっかけで小説家として名が売れたと記憶してる。貫井氏の文章運びが好きでその後も何冊か読んでいるが「慟哭」を越える小説にはまだ出会っていない。 本書の帯で「ぼくのミステリーの最高到達点です」とあったので、ワクワクして読んだ。 ん~、これが最高到達点なんて言って欲しくはないけれど、しかしながら引き込まれた一気に読みました。 コレ、評価の分かれる小説じゃないかと思います。 この本を読もうと思っている方、一切の先入観なしに読んだ方がベターです。
以下 ネタバレあり
結論、 「人がその行動を起こした意味など、そのひとでないとわからない。もしかしたら、それをやった本人でさえ、それを納得できるように説明できないものかも知れない」 と言うことなのだろう。確かにそうだと思う。この落としどころを(なんやねん!)と言ってしまえばこの本の結末は、エエ加減な落としどころの小説となってしまうだろう。しかし、視点を変えて、読後の(もやもや感)を与えたかったんですよって言うのなら、ほんとうにモヤモヤしています。だったら狙いどおりなのかな? できるなら最後にもう一度”ショウコ”と言う名前を仁藤に向かって投げかけ、その反応を書いて欲しかった。
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