DARBAREYE ELLY *彼女が消えた浜辺*

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20130523_2937862009年 / イラン

監督:アスガー・ファルハディ

CAST:
ゴルシフテェ・ファラハニー、シャハブ・ホセイエ、
タラネ・アリシュティ

<STORY>
テヘランからほど近いカスピ海の沿岸のリゾート地。セピデーは大学時代の友人たちに声を掛け、3日間のヴァカンスを過ごしに来る。メンバーはドイツでドイツ女性との結婚に破れたアーマド、その妹ナジーと夫マヌチュール、セピデーの友人ショーレと夫ペイマンと子供たち、セピデーの子供が通う保育園の先生エリ。セピデーはこの旅行を、エリとアーマドの出会いの場にしようと計画していた。セピデー以外のメンバーとは初対面のエリだったが、皆が彼女の美しさと聡明さに触れ、彼女を温かく迎え入れた。セピデーが予約していたヴィラは手違いで満室となっており、海辺の朽ちかけた別荘に案内される。別荘は何年も使われていなかったが、そのロケーションに誰もが夢中になり、休暇を楽しんだ。しかしエリだけはよそよそしい態度を取っていた。彼女が携帯で母親と話す態度や、着信を取らない様子に、アーマドは違和感を覚える。2日目の朝、エリは1泊の予定だったので帰りたいとセピデーに申し出る。アーマドとの関係がまだ深まっていないことに焦ったセピデーは、強引に彼女を引き止める。エリは思い詰めた様子で、海を見つめるのだった。男たちがビーチバレーに興じ、女たちが食事の支度をしていると、ショーレとペイマンの子アラーシュが海で溺れてしまう。アラーシュは助けられ、九死に一生を得るが、そのときエリが消えていることに気づく。海難救助隊が出動しても、エリの行方はわからなかった。彼女の痕跡はどこにも残っておらず、彼女の正式な名前すら誰も知らなかった。やがて明らかになる真実は、セピデーと友人たちは苦しめていく。

<感想> 評価 ★3
前回、イラン映画「別離」を観て、イランと言う国、イスラム教徒(ムスリム)の考えに興味を持った私。
本作も「別離」と同じアスガー・ファルハディ監督の作品です。
映画の本筋とは関係がないけれど、冒頭のシーンを観ると、クルマはプジョーやBMW、カスピ海のリゾート地へヴァカンスに出かけ、カバンもヴィトン・・・日本と変わらない生活レベルだと感じられます。イランは私が思っている以上に先進国なんですねー。だけど、人々はイスラム教を信仰し、女性はみんなヒジャブ(スカーフ)をしています。敬虔なムスリムなんです。
この作品の興味を引く点のひとつには、そのイスラム教があります。
結婚前の男女が付き合うことは、先進国に見えてもイランではありえず、ましてや独身女性が男性と二人きりになるような状況を作ると言うことは、結婚前提で付き合うことを安易に認めたようなことであるワケです。
この作品のエリ。彼女は独身女性なのに、強く誘われたとは言え、旅行に女性ひとりで参加してしまいます。そして、アーマドは、ドイツで暮らし、ドイツ人女性と結婚、離婚をした男性でこちらもひとりで参加。イスラムの考えから少し外れたふたりだからこそ合うのではないかとおせっかい好きのセピデーは考えてこの旅行を計画したのでしょう。
しかし、子どもの水難事故未遂をきっかけに、エリがいなくなる事件が発生。エリはどこへ行ったのか?子どもを助けるために海に入って水死した?それとも何かから逃げるために、ここを去った?
少し謎めいたエリの行動や表情を思い出して、皆が考えはじめます。それと同時にセピデーが(何かを知ってて隠している)ような雰囲気を見せるところからサスペンスタッチに変わりました。
イランと言う国。ムスリムの変わらない教え、守り続ける宗教観と、異文化の考えがせめぎ合う興味深い作品でした。
しばらくはイラン映画、続いて鑑賞しそうです。

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