<あらすじ>
妻も、読者も、騙される! 『悪人』の作家が踏み込んだ〈夫婦〉の闇の果て。
これは私の、私たちの愛のはずだった――。夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが……。夫婦とは何か、愛人とは何か、〈家〉とは何か、妻が欲した言葉とは何か。『悪人』『横道世之介』の作家がかつてない強度で描破した、狂乱の純愛。本当に騙したのは、どちらなのだろう?
<感想>
久々にひとりの時間があると、やっぱり本屋に来てしまう。
最近じゃ本はAmazonで買ってしまいがちだけど、やはり本屋で紙の本を目の前にすると、読書熱があがる。そう言えば、2月に「永遠の0」を読んで以来、読んでなかった・・・とハタッと気づいた。たまに本屋は行くべきだ。吉田修一氏の新作を見つけ、1ページ目の10行を読んだ時点でレジに並び、帰宅後一気に読破した。
吉田修一ってほんと上手いわ・・・。
ハード本の帯に書いてる本書の紹介文、私の感じたものと違う。ま、「作家に騙される」と書いてあるから、伏線があるんだろっと用心しながら読んだからかも知れないけど、騙されると言うより、内に秘めてるなにかがありそうな主人公:桃子が読み進める毎に不気味になっていく感じが、一気読みさせた理由。
桃子の近所の賃貸ハイツに住む日本人ではなさそうな「李」と言うコンビニ店員の青年、桃子が仕事で関わっているさわやかな印象の企画部浅尾くん。当初から登場し、淋しい桃子がどちらかと恋にでも墜ちるのか?と思わせておいて、何もおきない。ラストに含みはあったものの彼らは、読者に本筋を混乱させる存在でしかない。一見、不必要なこのふたりの存在が案外いい味つけになっていて、(なるほど~)と思わせたし、義父の生みの親で、実は実父の妾だったと言う時枝おばさんなる存在も、時枝さんが住んでいた離れに現在住んでいる桃子。その事実と、桃子が和室の床下に異常なまでの執着を見せるくだりも、結局本筋には深く影響しないんだけど、狂気を孕む桃子のディティールとして惹かれる要素でした。
特別な事件があるワケじゃない日常の狂気。ひとの潜在意識の中に潜む狂気を題材にした作品でした。
何度も言うけど、ほんとに吉田修一氏、上手いです
コメント待ってます♪
「愛に乱暴」吉田修一
妻も、読者も、騙される! 『悪人』の作家が踏み込んだ、〈夫婦〉の闇の果て。
これは私の、私たちの愛のはずだった――。
夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、
桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが……。
夫婦とは何か、愛人とは何か、
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藍色さん
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