私の男 桜庭一樹 著

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20090507_690627<あらすじ>

おとうさんからは 夜の匂いがした。
なにもかも奪いあう「父と娘。朽ちていく幸福と不幸を描く衝撃の問題作。
「おとうさんに、ぜんぶあげる――」
2008年から1993年まで、15年の時間を遡る、ある無名の男女の物語。
奪われて育った人間は、熟して実をつけることなく、朽ちるだけの花なのだろうか?
「おとうさぁん。おとうさぁん」北の黒い海を舞台に、親子の禁忌を描く暗黒の長編小説。

<感想>
暗くて果てのない深い哀しみと欲望でつながっているような父と娘。
読み進めていくうちに父:淳悟と娘:花との関係が見えてくるのだが、
それは鳥肌が立つような禁断の関係であるはずなのに、
根底に潜む「絶対的な愛」と言うものを感じさせられもして
読み終わった時、すごいものを読んだと思った。
4章からなる本作は1章ごとに語り手が変わるので、第三者として淳悟と花を見ることができるのだが、
その分、花と淳悟の心の内がわかりにくく、モヤモヤとしたものが残る。
ナゼ、花は淳悟でない男と結婚しようと思い、惇悟はナゼ消えたのかや、
淳悟と花の本当の関係については結局、推測するしかなく最後まで語られていない。
ある意味、それが小説として『品格』を持たせているのかも知れないが
ふくれあがった疑問が放置のままで、着地できないまま読み終わったようで落ち着きが悪い。
ま、作者がそれを描くことを拒否しているのだから文句を言っても仕方がないのだけれど。
北海道が好きで5回ほど旅行に行っている。紋別、オホーツク海、江差、樹海ロード・・・
どれも情景が浮かび、この小説にとても合っている土地だと思ったけれど、
結局ハマりこめなくて読み終えるのに時間がかかってしまった。
この作品が好きな人は他にどんな小説を好むのだろうか・・・ふと思った。
 

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