<あらすじ>
もう神様にお願いするのはやめよう。
どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。
哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。
彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。
人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。
世界の一部にすぎないはずの恋が
私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。
吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。
<感想>
今までの山本文緒作品とは少し雰囲気が違う小説だった。
けれど、退廃的な文章は健在。
ミステリーではないが、謎めいた設定で、
主人公:美雨の生き方やその言動がとても哀しく、なんだかやりきれない。
”ひとを愛すること”を考えさせられる小説である。
ひとを愛することはとても素敵なこと・・・だが、その”愛”で、自分を見失ったら・・??
愛しすぎて自分を見失っていく美雨が切なく悲しすぎる。
誰でも愛する人のすべてを欲しくなるのは当たり前のこと。
現実はどれだけ愛してもひとつになることなどないもので、
いつしか人は、それを理解して、なんとか自分の気持ちを切り替えていくのだが・・・。
愛しすぎてボロボロになる恋愛の行き着くところ・・・・を見れる作品かも??
コメント待ってます♪