기생충 / Parasite / パラサイト 半地下の家族
2019年 / 韓国 監督:ポン・ジュノ CAST: ●第92回(2020年)アカデミー |
STORY
ソウル市内の半地下物件に住むキム一家。
父親ギテクは事業に失敗ばかりで現在無職だが、楽天的な男だ。元オリンピックハンマー銅メダリストの母親チュンスクはそんな夫の尻を叩くしっかり者。長男ギウは大学受験に失敗続き、妹ギジョンも美大を目指すが挫折。まともな収入もない彼らは内職で日銭を稼ぐ日々。
そんなある日。長男ギウの友人ミニョクがやって来て、「ボクの留学中、家庭教師のバイトを代行して欲しい」と言う。
代行を引き受けたギウは、IT企業社長パク宅を訪ねるが・・・。
感想 ★4
映画の概要
アジア勢初のアカデミー賞作品賞、監督賞を獲った作品です。
これまでに、ポン・ジュノ監督作品は、2作観てます(”母なる証明”、”グエムル 漢江の怪物”)。
韓国のソウルの家賃がかなりの物価高。その中で、南北戦争激化の時に作られた防空壕=半地下が、格安物件として賃貸されており、低所得者に人気なんだそうです。
トイレの位置が高かったり(逆流しないため)して面白いんですよね~。
だけど現実は、陽あたり最悪のカビ物件のようです。
面白かった
これまでいろんなウワサを聞きましたが、「面白い映画」でした。
そして、もう一度観てみたいなと思ってます。
ストーリー構成が興味深いし、絶妙ですね。
前半はコメディタッチ、後半はサスペンスタッチで進みます。
映画の空気感がガラッと変わりました。
興味深いのは、うだつが上がらず、友人ミニョクからも(魅力なしの男)と思われている長男ギウが、予想外のやり手であったところ。
パク家の奥様ヨンギョの気持ちを上手く掴んだだけじゃなく、妹ギジョンをエリート美術講師ジェシカとして紹介し、どんどんパク家に入っていくワケです。
前半は、そんな計画を誰も口にしていないのに、取り入る隙があると見るや否や、妹ギジョンの留まらず、父親、母親まで、あれよあれよと言う間に全員がパク家で仕事をゲット。
その感じたるやまさに映画タイトルどおりの「寄生虫(パラサイト)」感。
韓国映画を観るといつも思うんですよね、【ハンパない家族愛】って。
私にはそれがある種、怖さなんですけど。
以後、ネタバレ
ソン・ガンホって、いつも飄々としてる。
古田新太タイプの俳優のイメージです(ちょっと違うかもだけど)
ソン・ガンホ演じた父ギテク
今回私は父親ギテクに注目してレビューしたいと思います。
事業も失敗ばかり、まともな稼ぎもなく、半地下に住んでる「負け組ギテク」。
それでもギテクは、運転手としてのレベルは高く、本人もそれには自信がある。
ギテクはきっと、(たまたまツイてなかった結果、半地下に住んでるだけ)と思ってるんだと思う。
しかしギテクは、パク社長がカレを、「何とも言えない臭い匂いがする男」と思っていると知り、自尊心がキズつくワケです。
なんかコレ、わかる気がするなと思ったんです。
匂いで格差の違いをあからさまにされた感かな?
どれだけ努力しても抜け出せない”現実”を思い知ったのかも知れません。
結果、ギテクはパク社長を刺し殺します。
でもそれは、殺す気があって刺したのではなく、元家政婦ムングアンの夫グンセが騒動を起こした時、グンセの近くに落ちたクルマのキーを拾おうとして近づいたパク社長が、グンセが放つ”臭い”に顔をしかめ、鼻をつまんだのを見た瞬間の怒りのせいでした。
この一連の流れが、なんだか凄く印象に残ってます。
地下シェルター
もうひとつ。
パク家の地下シェルターに4年以上も潜伏していた元家政婦ムングアンの夫グンセの存在。
これ興味をひきますよね~。
カレは韓国社会からどんな存在なんでしょう?
戸籍はどうなってる?当然税金は払ってない。健康保険もない・・・あ、この考え方が日本人なんでしょうね(笑)
解雇されたムングアンのパク家への忘れ物が、地下シェルターに勝手に住まわせていた夫と言う怖さ。”下には下がいる”ではないけど、韓国の格差社会の現実なんだろうなと思うワケです。
つまりこの世に存在していない存在がグンセ。
グンセの存在は映画の2/3を観ないと出て来ませんが、パク社長が、「仕事のできる家政婦さんだったが、メシは人の倍食べる」ってセリフを言ってて、あぁこれが前フリだったんだーって思うんですよね。
ラストが・・
事件のあと、ギウは後遺症を負い、妹ギジョンは死亡。父ギテクが行方不明。
父はどこに・・・そこは想像どおりの場所にいるんだけど、そこからギテクが出る術がない。
つまりは刑務所よりヒドイ場所かも。
シーンとしては、成功を収めたギウがあの豪邸を買い、母と共に中庭で待ってるよと父さんにメッセージを送るシーンがあるけれど、よく考えたら、ギテクにメッセージを送る術はないし、ギウがあの豪邸を買うことなんて、何をしてもムリでしょう。
そこに何も変わらない現実を見た気がしました。
長々と書きましたが、この映画にはそれだけ語らせる力があるんだと思います。
そしてもう一度見てみたいと思わせるものがあります。
コメント待ってます♪