沖で待つ 絲山秋子 著

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20090507_690592<あらすじ>

仕事のことだったら、そいつのために何だってしてやる。そんな同期の太っちゃんが死んだ。約束を果たすべく、私は彼の部屋にしのびこむ-。仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く ― 「沖で待つ」
37歳にして無職。職安に通う主人公。近所の人からお見合い話を勧められ、することになるが ― 「勤労感謝の日」

<感想>
「勤労感謝の日」と「沖で待つ」の2作を収録した、2006年芥川賞を獲った小説。
それだけで敷居が高く感じられ、読み始められなかったけど、数ページ読んだ瞬間から止まらず一気読み。読んでる途中から、すごい作家を見つけた!と思った。こんな感覚は山本文緒さんの小説に出会って以来。
なんと言っても私は絲山さんの文章がとても好きだ。言葉の転がし方が絶妙にうまい!言葉に出して読みたい日本語なんて本があったけど、私にとってこの小説は声に出して読みたいと思う程の絶妙なリズム感のある文章なのだ。その上、女だと言うことを受容しつつ、諦めつつ自立しているとこがいい。
「勤労感謝の日」の小説の中の一場面。
お見合い中に、相手の男が「負け犬論」をどう思うかと主人公の恭子に聞く。
「知ってますよ。あれで言うと私は立派な負け犬ってことになりますね。」
「そうじゃないんですよ、負け犬って自覚してればゆるされるんですよ」
 なんでこんなカスに許してもらわなければいけないのか。(小説より)

この感じがたまらなく私にフットする。それはきっと、私が絲山氏と同期だからだろう。私が生きてきたバブル時代など書かれている背景がダブるから尚、おもしろいのだと思う。
今後が楽しみな作家である。

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